snow in the field

Yukiko Tanaka, pianist

 

「私は主にむかって歌います。」(詩篇13篇6節)

 

ご挨拶

 

本日は、新学期の始まる直前、月末のお忙しい中、この伝道コンサートにおいで下さり、ありがとうございます。私にとってはこの横浜ユニオン教会でのコンサートが、日本で初めてのソロリサイタルであり、ずっと楽しみにしておりました。私の生まれた国で初めて行うコンサートが、神様に奉げられる物であるとは、何と嬉しい事でしょう。このような特別な日に、皆様に来て頂けたことを本当に感謝致します。

 

人生には様々な出会いがあり、人生とは、出会いで決まる、とも言われています。幼い頃、学校の先生に憧れて自分も教師になる、優しい看護婦さんにお世話になり、自分も看護婦を目指す、人生の大変な時に、心ある友人が助けてくれ今の道が開けた、など、よく聞く話であり、皆様にもそういった経験があると思います。何よりも、私達一人ひとりの両親が出会っていなかったなら、私達もこの世に存在していなかったのです。出会いがいかに影響を持つものであるか、本当に考えさせられます。

 

私にも今までに沢山の重要な出会いがありました。私に最初にピアノを教えてくれた先生、一緒に学校に通った、大切な親友、大学で社会学を目指すきっかけをくれた恩師、諦めていたピアノを再び志そうと決めさせた素晴らしいピアニスト、私のピアノと音楽観を根本から叩き直してくれた偉大なピアノの教授、私を教会に誘ってくれた友達、洗礼を授けてくれた牧師。その他、旅行先で困った時に助けてくれた人、コンサートに来て下さった人など、名前も知らない人々を含め、こういった人々との出会いがなければ今の私は在り得なかったと思います。一つ一つの出会いを思い出すたびに感謝の思いで胸が一杯になります。しかし、総ての出会いの中で一番大切で、私の人生を最も変えたのは、イエス様との出会いです。

 

私がニューヨークへ移った頃、まだ友達も仕事も無く、引越しと大学院の授業料でお金も使い果たし、とても惨めな生活をしていました。お小遣い稼ぎの為に、それまでにはしたことの無かった、ウェイトレスやベビーシッター、家政婦のアルバイトをし始めました。不慣れな仕事は大変で、ピアノを練習する時間も体力も無く、どんどんニューヨークの厳しい競争社会から置いていかれるようでした。日々焦りがつのり、「私はこんな事をする為にニューヨークに来たのかしら。」と毎日少ないお金を数えながら、将来のピアノに対する展望も見えずに、泣いて暮らしていました。その頃、日本人の友達が欲しかったのと、暇だったということでマンハッタンにある日米合同教会へ通い始めました。この教会は、私がニューヨークに引っ越す前にインターンをしていた当時、感謝祭りの夕食会へのチラシを貰った事で知りました。私はミシガンにいた時にカソリック教会の週3回の礼拝でピアノを弾いていたので、教会に行く事自体には抵抗も、特別な思いもありませんでした。しかし、日米合同教会の時は違いました。ピアノの仕事としてではなく、一人の会衆として参加するようになって、福音が心に届くようになったのです。そしてある日、自分の部屋で、いつものように貰った聖書のデボーションガイドを読んでいたら、「神様はあなたの心配も必要もご存知です。」という文章が飛び込んできました。それを読んだ瞬間、体中が熱くなり、涙が湧き出しました。その時、誰かが私の右後ろに立って、私の背中を優しく撫でてくれました。私はそれがイエス様だと分かりました。

 

私は、それまで自分勝手に生き、幸せになろうとして、どれだけ神様から遠くに離れてしまったのかと気づき、幼子のようにもう一度神様へ近づきたいと思いました。そして数ヵ月後、2003年の1月、教会の皆様の支えとお祈りにより、ネイサン・ブラウネル牧師より洗礼を受けました。「苦しみにあったことは、私に良い事です。これによって私はあなたのおきてを学ぶ事ができました。」(詩篇119篇71節)

 

それから劇的に私の状況が変わったわけではありませんが、心の中は常に神への信頼と平安で満たされる様になりました。神様はいつも一番良いものを私にくださるという約束を固く信じて、自分にとっては嫌なことも、神様が下さるのであれば、と心を低くして受け入れて歩めるようになりました。そして、そういった試練はやはり後になって必ず数倍の実を結ぶことになったのです。「神のなされることは皆その時に叶って美しい。」(伝道の書3章11節)

 

「主は与え、主は取りたもう。主の御名はほむべきかな。」(ヨブ記1章21節)沢山の良い出会いもあれば、悲しい別れもありました。ニューヨークは留学生や単身赴任で来る人が多く、せっかく知りあえた教会の友達も1年か2年でお別れということが続き、特に私を導いてくれたブラウネル牧師一家が、日本宣教の為に教会を去ると言った時も非常に驚きました。どうして神様は、私から大切な友達を次々と取り上げていってしまうのだろう、と思っていましたが、今になってそれらの事に神様の計画があったことに気づきました。神様は、別れる日も下さいましたが、今日と言う日に再会する時もちゃんと用意して下さっていたのです。更に、伝道コンサートの案内を貰って応援に来てくださった地元のクリスチャンの方々、音楽が好きで、初めて教会へ来る方などとの新しい出会いも用意して下さいました。

 

キリストを信じる人生には偶然はありません。こういった一つ一つの出来事、出会いの後ろに神様の御手の働きがあるのです。私は、イエス様を信じるようになってから、偶然や自分のエゴに一喜一憂せずに、神様の最良の計画に従って希望を持って生きることができるようになりました。聖書は約束してくださいます。「あなたのなすべき事を主にゆだねよ、そうすれば、あなたの計るところは必ずなる。」(箴言16章3節)

 

最後に、コンサートを開いてくれた横浜ユニオン教会、それに向けて尽力してくださったリンダ・シュミット牧師、ネイサン・ブラウネル牧師に心より感謝申し上げます。今日来てくださったお一人お一人の上に、神様の祝福と恵みがありますように。

 

感謝をこめて、

 

田中友樹子